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暮らしの声

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Interview
豊田の家族たち:写真メイン

豊田の家族たち:写真1

豊田の家族たち:写真2

Aさん

名古屋と足助、二拠点生活という形で夢だった田舎暮らしを叶えたAさん夫妻。山間地域での起業をはじめ、人とのつながり、自治のすばらしさなど移住で得たものとは?
豊かな自然、都会では得られない穏やかな時間、人とのつながり、新たな夢も…。二拠点生活で叶えた田舎暮らし。

voice1

夫の定年まで数年、でも静かな環境で暮らしたい。二拠点生活ならできるかも…そう気付いたのがきっかけでした。

2021年の春から、名古屋市内と豊田市足助の北小田(きたこだ)という集落とで二拠点生活を始めました。2人とも、もともと田舎暮らしには興味があって、それこそ夫が定年を迎えたら、どこか田舎に移住してキャンプ場とかやりたいね、なんて話していたほど。正直、移住はもっと先の話かなぁと思っていたのですが、数年前に名古屋の家の周りで宅地造成が始まり、環境が一変というか激変。私はフリーランスで映像プロデューサーをしていて、自宅で仕事をすることも多かったので、環境の変化にちょっと疲れてしまったんですね。いろいろ考えるうちに、そっか、今住んでいる名古屋の家との二拠点という形だったら定年を待たずに田舎暮らしができるかも、もっと静かな環境で生活したいねって、本格的に移住を考え始めました。
最初は岐阜の郡上や恵那、中津川のあたりも移住先として検討。でも夫の通勤を考えると、やっぱりキツイよねって。それでどうしようかって考えたときに、映像の仕事でしょっちゅう訪れていた豊田の山間地域を思い出したんです。「そういえば足助とか旭とかあの辺り、すっごくよかったぞ」ってまさに灯台下暗し。足助は名古屋の家から下道で1時間ちょっと、なんだったら通勤も充分可能。二拠点生活を始めるにはちょうどいいなと気付いたんです。いえ、私たちに限らず名古屋市内との二拠点生活なら豊田の山間地域ってかなりねらい目だと思います!だって勤務先や仕事、今の生活を全部ガラッと変えなくても田舎暮らしが始められるんですから。この良さにみんなも早く気付いてほしいです(笑)

voice2

「いつか田舎に移住したい」「どこかいい物件はない?」周囲へのアピールも大切。いいご縁につながることも。

北小田は豊田市足助の中心地から車で10~15分ほどの山間地にある小さな集落で、この一画に建つ築200年の古民家を借り、住まい兼レンタルスペース『北小田の家』として利用しています。
この家は同じく北小田に移住したSさんが紹介してくれました。Sさんは移住者としても山間地域での生業者としても大先輩。県の事業『三河の山里なりわい実践者』(※)のOBでもあります。
田舎暮らしを始める前は、移住に関する本を読んだり、先に移住した知人から聞いたりして情報を集めていました。近所付き合いが大変・地元の人になじめないと苦労するなど負のイメージばかり持っていたので、当時は「誰も住んでいないような山がいい」と本気で思っていました(笑)。でも「北小田はめちゃめちゃいい人ばかりだよ!」とSさんに勧められ、地域の集まりに参加するように。それで地域の皆さんに会ってみたら、ほんとにいい方ばかりで驚きましたね。

※愛知県では、過疎化が進む三河山間地域の活性化を目的に起業などの実践、移住や定住の促進を地域一体となって支援する『三河の山里サポートデスク』を2016年から設置。三河山間地域のなりわい・にぎわいづくりの先駆者となる三河の山里なりわい実践者の支援を行っている。Aさんは令和3年度(2021年6月1日~2022年3月31日)に活動。現在は『2022年度あいちの山里アントレワーク実践者』に改名(2022年7月~)

voice3

地域面談は自分たちのことを知ってもらえるいい機会。
やっておくといいよ!と声を大にして言いたい。

移住にあたり、まず行ったのが地域の役員さんたちとの地域面談です。私たちのときは、先方は4人いて「今はどこに住んでるの?」「仕事は?」「勤め先は?」「ここ(北小田)でどんなことがしたいの?」といったことを(かなりネイティブな三河弁で!)聞かれました。その頃、私は畑仕事や草刈りに夢中で興味があったので、「草刈り大好きなんですよ~」と言うと、「ほうかほうか、いいじゃんね~」とおじさんたちの顔がいっぺんにほころんで。こんな調子で面談といっても決して堅苦しくはなく、和やかなものでした。
最初は、え~役員と面談?何を聞かれるんだろうと不安でしたが、後々思うとこれってすごくいいシステムだったなって。私たち自身が長年暮らした名古屋の家の周りでは宅地造成が進み、それこそ誰が住んでいるかわからない状況にほとほと疲れ…だからこそ、受け入れる側(北小田)の皆さんの気持ちがすごくよくわかったんですね。移住する側も不安だけど、迎える側も同じ。お互いどういう人なのか知りたいですもんね。噂ベースで情報が広がっていくより、一回の面談でお互いスパッとオープンに話せるのはすっごく健全でいいなと思いました。
結果、役員さんたちに「よし!」と認められれば、お墨付きをもらったも同然。地域の皆さんも遠巻きじゃなく、最初からオープンに接してくれて助かりました。ほんと面談は最初にやっておくべき!と声を大にして言いたい(笑)。これは田舎に限らずかもしれませんが、新しい土地で地元の人たちにうまく馴染めないとか、地域の活動や農業の大変さを後々知って苦労するとか、そういう田舎暮らしの理想と現実の差のようなものもこの面談で早々に埋められるような気がします。

voice4

『北小田の家』での活動を通し、市街地と山間地域の人をつなぐハブのような存在になりたい。

『北小田の家』ではレンタルスペース、ハウススタジオ事業、ホームぺージや動画作成の講座などいろいろ活動しています。『みんなのおばあちゃんちプロジェクト』と題したワークショップもその一つで、講師は山間地域在住のお年寄りに依頼。これまで門松や注連縄(しめなわ)づくり、竹細工体験、コンニャク作りやキノコの菌打ち体験などを企画し、多くの方に参加してもらいました。講師役のおじいちゃん、おばあちゃんにも喜んでいただきました。実は皆さん、その道のエキスパートで、コロナ禍の前は『里山くらし体験館すげの里』で指導していた方や、新盛小の校長先生を務めていらした方などキャリアも人柄もすばらしい方ばかりなので、これからもいろいろ相談しておもしろいことができたらと思っています。実際ここで暮らす人から、この土地に根付く風習や食文化を学び触れられる機会って貴重。観光客以上、定住者未満で地域とつながる〝関係人口〟が増えれば山間地でできることももっと広がりそうで、私たちもワクワクが止まりません。
2022年4月からは民泊も始めました。縁あって来てくれた方には地域の方々の人柄や暮らしに触れ、ひいては北小田の魅力に気付いてくれるといいなあと。ここでの体験や過ごした時間が田舎暮らしへの興味の入口になるとか、もともと興味を持っていた人の背中を押すとか、きっかけになったらうれしい。何よりここで暮らす人のリアルな生の声も聴けるので、情報収集や意見交換もできたら最高!ここが市街地と田舎の人をつなぐハブのような存在になれたらと思います。

voice5

いきなり移住・定住はハードルが高い。将来的には北小田で二拠点生活ができるシェアハウスを運営できたら。

北小田には14世帯が暮らしていて今現在、空き家はありませんが(2022年10月時点)、今後もし空き家が出てきたら二拠点生活ができるシェアハウスのようなものを運営できたらと思っています。いきなり完全移住はハードルが高いけど、シェアハウスで二拠点生活からだったら始めやすそうですよね。やってみて土地に馴染めそうだったら自分で家を借りたり購入すればいいじゃんって。今のご時世、仕事はどこでもできますしね。『北小田の家』も築200年の古民家ですがWi-Fi完備。旭地区にある『つくラッセル』もテレワークOK。市街地に近い適度な田舎=豊田の山間地域でまずはシェアハウス感覚でって、いいアイデアだと思いませんか。
二拠点でいくと、子育て世代の方たちにも耳よりな情報が。これは市役所の方から聞いたのですが、豊田市には小規模特認校制という制度があって、豊田市内の小学校に在籍する児童は現住所のまま、一定の条件のもと小規模特認校に指定された小学校に入学・転校できる制度があるそうです。例えば住まいは名古屋市内だけど、一定期間(小学校の間とか)、お母さんとお子さんだけ、豊田の山間地域の認定校に通うことも可能なんだそう。自然が豊かでのびのび子育てできるし、トヨタ系をはじめ大手企業の方を招いた特別授業を行ったり、学校の設備も最新だったり先進的な教育も実践していて、全国的にもかなり恵まれた教育環境なんだとか。名古屋をはじめ近隣市街地と豊田の山間地域との二拠点シェアハウス計画、いろいろニーズはありそうなのでいつか実現したいです。

voice6

あいさつを交わしたり、声をかけてもらったり、今では地域の人と会えることが何より喜びに。

名古屋市街から下道で1時間ちょっとでこんなにも自然が豊かで、静かで、何よりご近所からは「おはよう」「元気にしとったか」なんて声をかけてもらえる環境、これってすごくないですか? 近所付き合いとかはなるべく避けたいなぁなんて思いで田舎に来たのに、今では人付き合いが心地いいと思えるように。移住を経て思いもよらない気持ちの変化というか、大きな喜びを感じています。夫も「人は一人じゃ生きていけないよね~」とよく言います。北小田に来ていいお家に巡り合えたことももちろんですが、人とのつながりが持てたこと、これがやっぱり大きいですね。
あいさつやおしゃべりだけじゃなく、皆さんにはそれこそ手取り足取りおせわになっていますが、やっていただくばかりじゃなく、私たちも町内美化や地域の行事、お祭りに全部きっちり参加。あ、これは住む前からですよ。こうして一つ一つのつながりを大事にしてきたからこそ今があるというか、皆さんに受け入れていただいたのだなと感じます。不思議なもので、地域の集まりや活動もまったく苦じゃなかったんです。皆さん、ほんとに楽しそうなんですもん。草取りしながら「その草刈り機ええなぁ」って褒め合ったり、お互い軽トラ自慢したり、そういう姿がほほえましくて。誰かの悪口とかで盛り上がるよりぜんぜんいいじゃ~ん!って夫と2人、ほんとに感動したんです。

voice7

起業するなら名古屋の市街地より豊田の山間地。市や商工会の補助金制度もあるし、世間の注目度の高さも違う。

思うに、レンタルスペースを名古屋で始めたところでたぶん取材すらしてもらえなかったと思うし、ここまで注目してもらえなかっただろうと思います。起業にあたり、行政や商工会など何かしらのバックアップを受けられたとは思いますが、でもこれだけ注目してもらえて、いろんな人たちとつながりも持てたのは場所が豊田の山間地域だったからかなと。起業するなら市街地より山間地、断然おすすめ、という点も伝えたいです(笑)。
起業サポートでいくと、私は県のなりわい実践者(※前出)の出身で、山間地域での起業サポート制度のおかげで10カ月間、毎月お給料という形でいただきましたので、畳の掃除や障子の張替え、壁を柿渋で磨くなどレンタルスペースの開業準備にありがたく使わせていただきました。水回りのうち、お風呂は今後修繕しようかなと考え中。トイレは以前のままです。きれいだったので修繕の必要はありませんでした。補助金でいくと、エアコンだけ足助町の商工会の補助金で購入しました。といっても夏は涼しくてほぼ使いませんでしたけど。住まいとして気になったのは雨漏りくらい?これは同じくなりわい実践者OBで、移住者の先輩でもあるOさんに修繕してもらいました。Sさんもそうですが、山間地域の起業した者どうしのつながりもあって心強いですよ。

voice8

自治の高さ、地域の取り組みなど二拠点生活を経て気付いた豊田の山間地域のすごさ。

冬は積雪、凍結で足元が悪くなるので、市外というより地域の人向けのイベントを計画中です。例えば自分たちの地域の課題でもあるようなことに先進的に取り組んでいる人たちを取り上げた映画を一緒に見て、自分たちもできそう、取り入れられそうなんて気付きになるような、そんな映画の上映会など。というのも、北小田って自分たちで何ができるか考え動ける人がほんとに多いんですよ。自分たちの力でできるってすごく自信につながるし、それをやれていることがすごいなと。集落全体が大きな家族みたいなところがあって、他人なんだけど志の部分でつながってるんですね。あと集落の長老たちの存在感もすごい。町内会長を選ぶときに93歳(!)のおじいちゃんが、自分より若い世代に「責任はわしらが取るからやってみれ」と照れなく言ったときはシビれました、映画かと思った。自分たちの地域を良くしようぜってなかなか言えませんよね。
もう一つ、地域でいろんな取り組みをしているところもおもしろいんです。地元の会社が太陽光発電カーポートを運営していたり、『空飛ぶ車』の試験飛行や実証実験だったり、世界中がこれからやろうとしていることを豊田のこんな山間地域で今まさにやっていることがすごいなって。自動運転や空飛ぶ車が現実化したらすごく便利ですよね、山間地だからこそ、そうした研究活動がリアルで、どれも利益を出そうとか儲けようとかじゃなく、自分たちの暮らしにどう役立つか、地域にどれだけ還元できるか、困ったことを解決できるかっていう思いが軸にあるところがかっこいい。そういうおもしろいことを考え実践している人が豊田の山間地域にたくさんいて、問題を解決してゆくゆくは収益につなげ、自分たちの地域をもっと豊かにって、これも立派な自治ですよね。自分が暮らす町にこういう志豊かでかっこいい人たちがいるのもちょっと誇らしいです。

私の特等席

フェイバリットプレイス/ 『北小田のカヤ』のあるお家の花畑 北小田の湧き水とホタル

お気に入りの場所は2つあって、一つは北小田集落にある、大きなカヤの木のあるお家の花畑。このお宅のおばあちゃんが丹精こめて育てたお花が、春になると咲き揃いきれいなんです。お花見がてらいつも散歩しています。お庭にある大きなカヤの木は豊田市指定の名木の一つで、案内板もあります。
もう一つはホタル。〝湧き水と蛍の里、北小田〟というキャッチフレーズがあるほどで梅雨の時季、特に雨上がりは飛び交うホタルが幻想的です。

特等席:写真

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